リノール酸などの植物油脂が腸内細菌によって動脈硬化や炎症を惹起する新たな機序の解明がありました。
「サラダ油などのリノール酸を多く摂取すると、血清コレステロールを下げ、動脈硬化や心臓疾患を予防する」というコレステロール神話。
しかし実際は、リノール酸は血清コレステロールを下げるが、動脈硬化を惹起し心臓疾患を増やしてしまいました。これがコレステロール神話の崩壊です。
リノール酸はコレステロールを下げるのに、なぜ動脈硬化を促進し心臓の病気は増えるのか?
その機序の一端がまた解明されました。
Nature Communications volume10, Article number: 4007 (2019)
マウスの実験で、リノール酸などのオメガ6食用油をたくさん摂ると、腸内で産生されるHYAという脂肪酸が減り、酸化、炎症、動脈硬化、耐糖能異常、糖尿病を惹起することがわかりました。
リノール酸の大量摂取は腸内のHYAを減少させ、消化管ホルモンGLP-1も減らし耐糖能異常、糖尿病を悪化させることがわかったのです。
卵のコレステロールを多く摂っても、動脈硬化、心臓疾患と無関係。
50歳前後の更年期女性がコレステロールだけ上昇しても、動脈硬化、心臓疾患と無関係。
でも、血清コレステロールが高いだけで、コレステロールの薬が処方されるのが、この国のお約束になっています。
確かに動脈硬化のリスク因子のある人が血清コレステロールも高いと動脈硬化を惹起しやすいのですが・・・・安易にコレステロール高い=動脈硬化と考えるのはいかがなものかと思います。
そして、動物性脂肪の摂取はメタボや血清コレステロールを上げる。だから、動物性脂肪は控えめにしましょう・・・がお約束。
本来は、バターなどの動物性脂肪は適量なら体に悪くない。
最近の風潮は、動物性脂肪は体に悪い、植物油のリノール酸の摂りすぎも体に悪い。そこで、オメガ3の油が脚光を浴びる。
オメガ3とオメガ6のバランスが大切。実際にこの比が心臓疾患を減らすエビデンスもある。だから、EPA製剤を摂ろう、アマニ油を摂ろう、オメガ3サプリを摂ろう。
これが現在の風潮ですね。
しかし、これまでの論文を集めて解析したメタ解析を見てもEPAやオメガ3サプリの内服で心臓疾患が優位に改善されたというエビデンスはありませんでした。
じゃ、どうするの?
結局のところ、リノール酸などのオメガ6食用油の絶対量を減らすことが大切だと思います。そういう理由で動物性脂肪を適量摂ること、魚などの食材でオメガ3を摂ることは重要なんでしょう。
オメガ3はサプリでなく魚などの食材で摂ることの方が良いのでしょうね。
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