炭水化物をほぼ食べないダイエットの問題点

新型コロナの騒動のさなか、吐き気、下痢、息切れ、めまいの患者さんが来院されました。

私、緊張が走りました。

もしかしてコロナ? (^^;

しかし、よくよく話を聞いてみますと、「産後うつに悩み、1年前より食事を変えたんです。」

「炭水化物は一切食べない、肉や卵、チーズをメインに食べてます。MEC食してるんです。」

(MEC食とは、肉卵チーズを優先して食べ、一口30回噛む食事法のこと。炭水化物は控えめにすれば食材の制限はありません。)

「さらにビタミンサプリも飲んでいます。鉄、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD・・・」

「最初は良かったのですが、1,2か月前より胃腸症状が出るようになり食べられなくなりました。」

当院で点滴、投薬により症状は改善しました。

患者さんの了解を得て、そのときの採血所見、出します。

採血所見上、肝障害、甲状腺機能低下症(FT3低値)、鉄飽和率の高値、フェリチン高値、ケトン体高値が見られました。

採血結果を少し解説いたしますと

炭水化物を一切摂らないMEC食(ケトジェニックダイエット)は、血中pH正常ですが、細胞外液は酸性に傾く傾向にあり、脱水などの体調不良が重なると、血液pHは酸性に傾きアシドーシスになります。

この患者さんはそういう状態にありました。

そして、鉄の指標はフェリチンだけではありません。鉄飽和率も重要です。

これは前回の私の投稿の復習です(^^)

鉄過剰になる原因はいろいろありますが、その一つの原因として肝機能低下は考えられます。

炭水化物を一切摂らないMEC食は肝機能低下しやすい。

肝機能低下すると、ヘプシジン分泌が低下して、腸管からの鉄の吸収増大し、鉄過剰になりやすい。

それが鉄飽和率の上昇です。鉄飽和率90%は高すぎます(正常は20%~30%)。鉄過剰の状態です。

鉄飽和率の高値はフリーの鉄が増えて酸化ストレス、慢性炎症、動脈硬化が進行していきます。

MEC食を推奨している私としては、MEC食で不調にならないように指導することも、医師としての私の務めです。

いろんなMEC食があって良いと私は思っています。肉、卵、チーズ、高脂肪食にこだわる必要はないと思っています。

MEC食の基本は、「いつでもどこでもだれでも」ですよ。

でなければ、いつでもどこでもだれでもできるMEC食ではありません。

MEC食をしてい私は、主に果物でしっかり糖質は摂るようにしています。(^^)

糖尿病やメタボの患者さんには、治療目的で1日60g未満の糖質制限食やケトジェニックダイエットを推奨することもあります。

その場合、患者さんにはメリット、デメリットを理解してもらったうえで、採血しながら経過を診ていきます。

誰にでもスーパー糖質制限食やケトジェニックダイエットは推奨しません。

スーパー糖質制限で不調になった採血所見1
スーパー糖質制限で不調になった採血所見2

MEC食ドクター福田世一

MEC食ドクター福田世一

肉卵チーズを優先、一口30噛む食事法(=MEC食)の普及活動をしている / 薬剤師 → 医師 / 日本透析医学会専門医、内科認定医、医学博士

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