高タンパク食もタンパク質が身にならなければ筋肉タンパク質が分解され異化亢進する。

高タンパク食もタンパク質が身にならなければ筋肉タンパク質が分解され異化亢進する。

糖質制限、高タンパク食、高脂質食のメリットばかり強調されて、具合の悪くなる人もみかけます。

注意喚起のため、症例提示します。

症例報告

30代女性。摂食障害、身長160cm、体重36kg、飲酒(-)

1年前 総コレステロール261、LDLコレステロール127、AST43、ALT32、γGTP26と軽度肝障害、甲状腺ホルモンFT3 2.0とLowT3あり。

5か月前より「某書物」を読んで、糖質制限とプロテイン、サプリを始め、調子が良くなる。

3か月前 総コレステロール451、LDL251に上昇。甲状腺ホルモンFT3 1.1に低下しLowT3亢進。

2か月前 総コレステロール535、LDL308に上昇。AST85、ALT140、γGTP51と肝障害。
倦怠感が強くなり体調悪くなる。

1か月前よりMEC食を摂り入れる。MCTオイルを毎日小さじ3杯程度摂取しサプリも継続。
MEC食は規定の肉200g、卵3個、チーズ120g摂る。

0か月時 総コレステロール615、LDL367に上昇。甲状腺ホルモンFT3 1.0とLowT3。RLPコレステロール20.9と動脈硬化マーカー高値、AST175、ALT379、γGTP115とさらに高値

総合病院で家族性高コレステロール血症の検査も否定され、コレステロール高値の原因は不明。
LowT3の原因は、摂食障害、痩せによるものと診断。



私の見解

#コレステロール高値、LowT3亢進

1年前より甲状腺ホルモンFT3 2.0とLowT3なのは摂食障害が原因です。

その後の高タンパク食、高脂質食、断糖食によるlowT3の亢進は、カロリー摂取不足、エネルギー摂取不足ではなく、「過度な糖質制限のせい」です。

コレステロール高値の原因は甲状腺ホルモンT3の低下、つまりLowT3の亢進です。

#高タンパク食

どれくらいタンパク質を摂取したのか尿検査で調べてみました。

尿検査より推定1日タンパク摂取量260g!

1日タンパク摂取260gは、およそステーキ200gを1日で6.5枚食べたことになりますが、こんなに高タンパク食?

いやいや、1日でそんなに食べれるわけがありません。(^^;

→これ実は、筋肉タンパク質が壊れていることを考慮しなければなりません。

高タンパク食を摂っていても、筋肉タンパク質が分解されています。

血中尿素窒素BUNは、タンパク質摂取の指標ですが、一方で自分の筋肉タンパク質が壊されている指標にもなります。

血中BUNが高くてもタンパク質摂取量を過大評価していることがあり、この見極めは結構、難しい。

血中尿素窒素BUNの上昇=高タンパク食で喜んでいると、思わぬ落とし穴になります。

#肝障害
肝障害は、サプリの影響でしょうか? ほかの要因があるのかもしれません。

#RLPコレステロール
RLPコレステロールは動脈硬化を示すマーカーです。

RLPコレステロール高値は、LowT3によって食事由来の脂質の処理能力が低下し、血管壁へのコレステロール沈着→動脈硬化を示します。
糖質を制限しすぎても動脈硬化をきたします。

高タンパク食も身にならなければ、低たんぱく食以上に体に悪い。

糖質制限、高タンパク食、高脂質食のメリットばかり強調されて、具合の悪くなる人もみかけます。

特に痩せの人は、ご注意を。

(掲載は、患者さんの承諾済みです。)
LowT3_no1

LowT3_no2

MEC食ドクター福田世一

MEC食ドクター福田世一

肉卵チーズを優先、一口30噛む食事法(=MEC食)の普及活動をしている / 薬剤師 → 医師 / 日本透析医学会専門医、内科認定医、医学博士

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