皮膚疾患の治療は薬だが、
日常の食事や栄養素が基本。


ニキビ

ニキビに関連する食事

2019年10月12日EADV(欧州皮膚科性病科学)会議で発表されたニキビと食事の関係

ニキビのある人の48%は乳製品を毎日消費する。

乳製品の消費→ニキビのある人48.2%:ニキビのない人38.8%

ホエイプロテインの消費→11%:7%

清涼飲料水などのジュースの消費→35.6%:31%

ケーキやチョコレートの消費→37%:27.8%

お菓子の消費→29.7%:19.1%

アナボリックステロイド使用→11.9%:3.2%

他にストレス、粗悪なスキンケアもニキビの要因。

タバコは関連なし。

コメント:乳製品や高GL食品(精製糖質食品)はニキビを作りやすい。

ただし、乳製品の中でもヨーグルトとナチュラルチーズは例外。ニキビと関係ない(^^)

ニキビと食事


ヨーグルト、ナチュラルチーズとニキビの発生に関連性は?

乳製品はニキビができやすい食品の一つ。

ミルク、バター、アイスクリーム、生クリームだけでなくチーズもニキビができやすい食品に含まれている。

それは本当だろうか?

2018年の研究によれば、ヨーグルト、ナチュラルチーズとニキビの発生の間に優位な関連性はないことがわかった。

ニキビの発生と関連がないチーズはプロセスチーズではなくナチュラルチーズだ。

その理由:

乳製品のIGF-1がニキビに関与する。

IGF-1は細胞の成長を促すホルモンだが、①乳製品のカゼインは肝臓からIGF-1分泌を促す=外因性IGF-1

②乳製品にはIGF-1そのものが含まれる=内因性IGF-1

①外因性IGF-1と②内因性IGF-1が男性ホルモンを刺激し脂腺細胞から皮脂分泌が促進されニキビができやすくなる。

ところが、ナチュラルチーズやヨーグルトなどの発酵食品は、IGF-1のレベルを下げるため、ニキビを悪化させない。

チーズはIGF-1を促すからとニキビを悪化させると言われるが、ナチュラルチーズはニキビの発生と有意な関連性はない。

ナチュラルチーズが腸内微生物の多様性を増やすため、むしろ積極的に摂りたい(^^)

ヨーグルト、ナチュラルチーズとニキビ

 


アレルギーとアトピー

子どものアレルギー

アトピーは家族歴、遺伝的素因が関連しているけど、症状の増悪は環境要因が大きく関係している。

経腟分娩より帝王切開、農村生活より都市生活、抗生物質の使いすぎ、生鮮食品よりスナック菓子やジャンクフードはヒトの腸内微生物の多様性に影響を与え、アレルギーやアトピーを悪化させる。

母乳、食物線維、発酵食品、プロバイオティクス、農業体験などはアレルギーに耐性をつけ、アレルギーやアトピーを緩和する。

食物アレルギーと食物耐性


チーズ摂取がアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患と関連するか?

ヨーロッパの931人の子どもを対象に、生後1歳6か月から6歳になるまでのチーズ摂取頻度と種類を毎年記録し、アレルギー疾患との関連を調査した。

その結果、チーズ摂取は6歳までのアトピー性皮膚炎、食物アレルギーの発症低下に明らかに関連していた。

そして、この効果は様々な種類のチーズを摂取した方が、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの発症低下に関連していた。

(OR = 0.64 [0.48-0.85] , P=0.002; OR=0.55 [0.33-0.92], P=0.02, respectively)

コメント:アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症低下に関連しているチーズはナチュラルチーズ。

日本人がよく口にしているチーズはプロセスチーズ。

ナチュラルチーズは菌が生きている発酵食品。

プロセスチーズは保存性と携帯性に良いが、生きた菌は含まれていない。

論文で強調しているのは、いろいろな種類のナチュラルチーズを摂取することが、腸内微生物の多様性を増やすのに役立っている。

この多様性がアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを減らすことに関連している。

多様性が少ないとアレルギー疾患が増える。いわゆる衛生仮説に通じる。

衛生仮説とは、清潔にし過ぎて微生物と接触する機会の減少がアレルギー疾患を増やすことをいう。

乳製品は卵、小麦と並んで3大アレルゲンの一つ。

チーズは乳製品なので避けられることが多かったがナチュラルチーズは例外。

ナチュラルチーズはアトピー性皮膚炎や食物アレルギーのリスク低下に関連する。(^^)


アレルギーとチーズ